DaysFor...
年の差純愛、24時。 生きてきた時間の長さ、今年でちょうど2倍。 彼と見た、いろんな東京のまち。忘れたくない言葉とか、書き溜めておきます。

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出会ったときのこと:その2

そんなわけで
前回にひきつづき、出会った日の話。


結局家の前まで送ってもらったわたしは
そのほんの10分程度の道のりで、いろんな話をした
だいたい人見知りだったり素直じゃなかったりするので
あんまりしゃべるのは上手くないんだけど


そして彼も
会って数分とは思えないほど、
旧知の友人に近況報告をするように自分のことを話した


わたしは、こんな偶発的すぎる出会いにちょっと大胆になっていて
車を停めたところで、片足だけ車の外に出して
いつでも、なかったことにして逃げられるようにしながら言った
「あなたを好きになりました」


彼は、笑いも驚きもせずに
「○○○○っていいます」
と、名乗った



びっくりしたのはわたしの方である
というのも、名乗られた名前をわたしは知っていたからだ
わたしのいるギョーカイは、フリーの人間が名をあげることが多く
いわゆる大御所と言われて雑誌やテレビに載っちゃったりするような
そんなひとだったのである


「…本物?!」
「なんで知ってんの」
「同業界だから?」
「ああ、そうかもな」


だから話が上手いんだ、と納得しつつも
なんとなく前にもうしろにも行けなくなってしまったわたしを
半分おもしろがるように、半分面倒くさそうに
「コーヒー飲む?」
って、言って


その2時間後に、
今は無き赤坂のとあるホテルで、1杯のコーヒーを飲んだ
本気で、コーヒーを1杯、飲んだだけで
「ここの中庭の池の鴨は、優しいんだよ
 朝な、エサ係がエサ持ってくると、この鴨がくわえて
 バーっと池の鯉にばら撒いてやるんだよ」
そんな話をして目を細める彼を
わたしは、出勤時間ぎりぎりまで、コーヒーラウンジで見ていた


でもそのときはまだ
コトの重大さをわたしは認識していなくて
「軽い火遊び」のように、思っていた気も、今となってはする


渡された、厚めの紙の名刺を仕舞って
「結婚してるんですか」って聞いたら
「嫁はいるけど家は無い。だからここに住んでる」
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南青山7丁目のひまわり

彼と出会ったときのこと


ふたまわりも年上のひとと、
同業界とはいえなんでそんなことになっちゃったのか、というと
全然、仕事のつながりではなかった


わたしはその頃、六本木のとある大企業に通っていて
毎日六本木通りを深夜にまっすぐ、2時間かけて歩いて帰っていた


タクシーが高速で通り過ぎるだけの道
煌々と光っていたのは、24時間オープンのセルフのガソリンスタンド
その交差点、「南青山七丁目」の短い横断歩道で
2メートル以上あろうかという大きな大きなひまわりが
光をさがすようにガソリンスタンドの方向を向いていた


なんてたくましいんだろう、となにかすごく感動して
思わずバッグからカメラを取り出して
自分が横断歩道の途中に立っていることも、
青信号はいずれ赤信号に変わるということも忘れて写真を撮っていた


信号が変わってたっぷり10秒(と後に彼は言った)あと、
停まっていた1台の車が、クラクションを鳴らすかわりに
左ハンドルの運転席の窓をゆっくり開けて
「おい」と呼びかけた
びびったのとびっくりしたのと訳がわからないのとで慌てて振り返ると
「…お前、俺じゃなかったら轢かれてるぞ」


苛ついたような、呆れたような、でもどこか面白がってるような、不思議な響きで
わたしは、赤信号なのに延々と写真を撮っていた自分と
それをずっと待っていたその車の運転手、という事態を把握して
今度こそ本当に慌てて
「あ…ごめんなさい」と言って横断歩道を渡りきると
彼はわたしを渡したあとに横断歩道を踏んですぐ、静かに車を停めた


「…大丈夫?」
「いや、あの、そこのひまわりが、すごく綺麗だったから」
「わかるよ。それはね。
 …女ひとりで歩く時間でも場所でもないだろ、
 六本木の夜の女にも見えねえし 危ないぞ」


はい、と言おうと思って顔を上げた瞬間、わたしはすでに落ちていて
どうしたらこの時間を引き伸ばせるか、しか考えていなかった
「○○なんで、近いんです」と自宅の地名を告げると
彼は驚いて、そのひとつ先の交差点が自分の事務所だ、と言った。
彼はしばらく無言のわたしを見て、そのうち諦めたように言った
「…乗ってく?」


テーマ:婚外恋愛 - ジャンル:恋愛

結婚指輪をする、男なんて

わたしは、宝飾品をまったく身に着けない


ひとにもらった、小さくて地味なカルティエの時計以外
ネックレスも、リングも、ピアスも


わたしは、ひとの左側をあるくのが好きだ
いつも歩道側だし、なんだか落ち着く
左ハンドルの車の助手席は、だからほんとは居心地がよくない


手を握っても、指を絡ませても、
肌に当たる結婚指輪の感覚が不愉快で
それはたぶん、指輪をさせるだれかの存在というよりは、
手を洗うときも眠るときも外されることのないポジションが
妬ましかったのかもしれない


「結婚指輪をするような男は嫌い」
ラウンジミュージックをでたらめに早回ししながら一度
そう言ってみたことがあった


彼は苦笑して、わたしを子供をみるみたいな目で見つめた後
たいしてことばを選ばずに言った
「気にするなよ、そんなこと」


わたしもなんだか、そう言ったことを後悔しはじめていて
二度とわたしも彼もそんな話をしなかったけれど


でもあの晩以来、彼の結婚指輪をわたしは見ていない
そのかわり、いままでよりもちょっとだけ
彼の左側にいるのが、心地悪くなった気も、しないでもないけど

テーマ:不倫 - ジャンル:恋愛

外苑前

青山の、とある商社とお仕事をさせていただいていて
面倒をみてくれていた某部門の部長が退職するということで
わたしの転職とそのひとの企業を祝して、青山で飲んだ


わたしは10キロ以内くらいなら、どこでも歩いて移動するので
渋谷から、ゆるやかな坂を青山一丁目方向へ上がる


外苑前の三叉路
わたしは信号をさがして立ち止まる
暑い夏の日に、
そこで彼の車を待っていた夜を思い出す
1杯のシェリーと、とってつけたように頼んだミルクティープリン


わたしはこういう、
手の中から零れ落ちそうな郷愁みたいな感覚が好きなのだ、
とつくづく思ってしまう


思い出のなかにばかり生きられないことはわかっていても
いまのことも未来のことも、そんなに考えたくはなくて


レースのライセンスを持っている彼は、
乱暴な運転をすることは一度もなくて、
車も、スポーツカーの割にそんな運転に従うように
いつもおとなしく、走っていた


一度、真剣な顔でこういわれたことがある
「片手で運転する男の車になんか、乗るんじゃねえぞ
 命、預けてんだから」


うん、なんて言わなかった気がするけど

テーマ:婚外恋愛 - ジャンル:恋愛

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 相坂 優

Author: 相坂 優
恋するトーキョー@白金。
不倫が不倫じゃなくなって、もうすぐ1ヶ月経っちゃいそうです。

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